探偵言いたい放題

癒着・不正・犯罪への怒り -前編-

 75歳の依頼人A氏は、ある戦いをくりひろげていた。
 その戦いとは、A氏の近所に住む「悪平 獣米」(あくだいら じゅうべい)の土地に関する争いであった。
 5年前に亡くなった獣米の父「与太郎」は、シャブ中が原因でなくなった根っからの悪として知る人には知られていた。
 シャブの他にも、数十年前までは選挙となると金はばらまく、不正はあたり前、三十年程前の時には、牛肉までばらまいて選挙運動を繰り広げていたという。それもこれも、全て政治家、市役所(行政機関)と癒着し、不当利益を得るためであった。
 手の付けられないワルに近所の一部の人達も与太郎に従わざるを得なかったのと平行して、この人達もワルに協力した見返りを期待するようになっていた。
 そんな中、1人反発して立ち向かっていたのがA氏であり、与太郎にとっては、目の上のタンコブであった。
 しかし、1人反発するのはそうたやすいことではなかった。
 二十数年前のある日のことであった。夜道を歩くA氏に突如何者かが襲ってきた。
 A氏は、突然後頭部をヘルメットのようなものでいきなり殴られた。
 「痛ぁ~」A氏は、そのまま倒れた。その次の瞬間とんでもないことが起こってしまった。「わぁ~~~」
 A氏から大量の血が浮き出した。
 「何が起こってしまったんだ」「痛い・・・」
 あまりにも悲惨なことが起こってしまった…
 なんと、A氏の左腕が一瞬にして切断されてしまった。
 後頭部を殴られぼう然としていたのでよく分からなかったというが、おそらく日本刀のようなもので切られたのだろうとA氏は話していた。
 結局この犯人は、捕まることはなかった。
 おそらく与太郎一派が仕組んだことであろうとA氏は話していた。
 この事件に関して、数年後に気づいたとA氏は言っていた。
 それは、この事件が起こった頃、A氏の土地の裏側にある国道に面した300坪程の与太郎の土地があった。この土地にまたがって流れていた小川があったが、当時流行していた地方病の危険がある川だとして、川の補修工事(コンクリートの川にする作業)という名目で川の工事が始められた。
 工事完了後A氏は驚いた。なんと川がなくなっていたのである。A氏は、市役所に問い合わせた。すると、市役所の担当は、次のように説明した。
 「この川の場所が非常に危険であり、川の経路を変更する必要があった…云々」と納得のいかない説明が繰り返された。この川は別に危険と思われる位置でわないのに、何故、経路を変える必要があったのか?A氏は不思議に思っていたという。
 その後、数日が経ち、この川周辺の地図をたまたま見た時A氏は気づいた。
 「こ・・これは」なんと、川の経路が変わることによって、土地の形が変わっている場所があることに気づいた。「これかぁ~」とA氏は思った。
 なんと、この形が変わった土地は、与太郎の土地であり、この土地の広さが大分広がっていることが分かった。
 A氏には察しはついていた。つまり、与太郎が議員、市役所とグルになって自分の土地を広げてしまった。つまり、国の予算を使って自分の土地を増やしてしまったのである。

癒着・不正・犯罪への怒り後編に続く