探偵言いたい放題

癒着・不正・犯罪への怒り -後編-

 つまり、この計画の邪魔になっていたのが、市役所に問い合わせをして疑問に思っていたA氏だったのである。ましてや、今までもすったもんだあったA氏の存在であった。近所の一部で唯一言うことを聞かない存在が邪魔だったのであろう。それでこの犯行だとするとそりゃ恐ろしいことである。
 このような因縁からであろうか?数年前、ちょうど与太郎が亡くなる1年程前のことである。この土地にちょうど面した所に、幅2メートル程の国道からA氏の家の方へ抜ける道があったがこの道が工事をしているのである。
 A氏は、「まさか、また国有地を自分の財産にするのでは?」と思った。
 怒りがA氏にこみ上げて、現場の市役所の担当職員にいろいろと質問をし、工事の理由を問い詰めた。
 しかし、A氏はふと思った。このままいくと、また襲われて危害を加えられかねない。
 更に、以前にもまして与太郎の環境は磐石であった。というのは、与太郎一派の息子世代が多く市役所に勤務しており、市長の側近にも与太郎の右腕が入り込んでいるのである。
 さすがに入り込む余地がなく、A氏はたまたまいた知り合いの探偵(地元のベテラン)に相談などをして、私のところに依頼が飛び込んできたのであった。
 こんな流れで私は調査にあたることになったのである。 「これは難調査になるぞ!」と思いながらも大きな敵に対する私の炎はギラギラと燃え上がっていた。
 また、A氏も屈することなかれ!と戦いの意を心に決めていた。
 調査にあたっては、最大限の警戒をもって、ねん密に作戦を練るところから始まった。
 調査に入って間もなくのことであった。いきなり頼んだ記憶のない料理が食堂から届けられたり、地元の消防団からは、話しの流れの中で、「お前の家なんか火事になっても消さないぞ」など多くの嫌がらせ、おどし、いたずら電話が続いたのである。
 どうやら敵も動き出しているようであった。やはり、今回の工事現場でのA氏の質問、抗議に敵も察知したのであろう。
 調査状況は最悪と言ってよかった。しかし、内偵を中心に調査を続けていったのであった。
 すると、やはり多くの情報を収集することができた。そんな中、これだと思われる確信的な情報をつかむ事ができた。その情報とは…
 やはり予想通りの情報が上がってきた。
 与太郎は、自分の土地に面した道を区画整理の名目でまたしても市役所の担当者を操り、更に、議員までも使って土地を拡げようとしていたのである。
 当然、担当者へも金銭的見返り、更には、議員にとっても次期市議会選挙の全面的支援を得ることができたのであった。
 私とA氏は、激しい怒りに胸中が襲われた。
 これら、議員、行政機関の不正が現実起こっているのである。皆さんも真剣に怒っていただきたい!!!
 その後、とうとう与太郎の思惑通り、またしても国有地を自分の財産にしてしまった。人間、一度秘めた味は、忘れられないものであり、どんどんエスカレートしていくものである。しかしこのようなことが何時までも上手く続くのであろうか・・・・・・
 果たして、与太郎はこの次どんな不正をしていくのであろうか・・・
 しかし、予想もつかない誤算が与太郎を襲った。
 それは、"時代"という抵抗することのできない誤算であった。
 つまり、土地の下落どころか、土地など売れない時代となってしまったのである。全てが上手くいっていた計画もこればっかりはどうすることもできなかった。
 そして、もう一つの時の流れが与太郎を襲った。
 与太郎のシャブでおかされたぼろぼろの内臓がついに停止した。
 土地が売れる前に死んでしまったのであった。
 残されたのは、ぶくぶくに太った固定資産税が付いて回る、売れない土地であった…
 与太郎の息子、獣米は近く展開される恐怖に震える日々が続いていくことに、まだ気づくことはなかった………